酸度計を標準液で校正してみた|安価な2台はどこまで信用できる?

🔧 農機具・道具紹介

こんにちは!はやし農園です😊 埼玉・熊谷の畑で、農薬を使わずに野菜を育てています。

畑の肥料を決める前に、土の酸度(pH)を知っておきたいと思い、土壌酸度計を2台用意しました。ところが、ふと疑問がわきました。「この酸度計、そもそも合っているの?」

私は会社員時代、品質管理の仕事を30年ほどやってきました。測定器は「使う前に、正しい値を示すか確かめる(校正する)」が基本です。そこで今回は、pH標準液を買って、手持ちの酸度計2台を校正してみました。結果は、思っていたよりはっきりした「使いどころ」が見えるものでした。

📌 先に結論

  • 酸性〜中性(pH4〜7)の目安としては使える。ただし誤差は±0.5程度で見るのが安全
  • アルカリ側(pH9付近)は、アナログ式は7台で頭打ち。参考にならない
  • どちらも調整できない機器だが、「ずれ」を記録しておけば、補正して使える

🔬 そもそも「校正」とは?

校正とは、測定器の読み値が、正しい値からどれだけずれているかを確かめることです。「調整する」こととは別で、調整ができない機器でも、ずれを知ることはできます。

pH標準液は、pHの値が決まっている液体です。これに電極をつけて、酸度計が正しい値を示すか見ます。今回は、土壌のpHの範囲(おおむね4〜8)をカバーするため、4.01・6.86・9.18の3種類を使いました。

🧪 使ったもの

標準液MMK SCIENTIFIC pH校正用粉末(4.01/6.86/9.18の3種類×5パック・15パック入り、約1,300円)。1袋を250mLの水に溶かして使うタイプ
溶かす水精製水(水道水はpHがずれるので使わない)
デジタル機TAKAGI 酸度・地温計(表示は0.1刻み)
アナログ機簡易土壌酸度計(針で読むタイプ)
その他プラスチック製ビーカー、電波時計(日時・室温の記録用)

💡 この標準液について

粉末の汎用品なので、公的な校正証明書(トレーサビリティ)は付いていません。厳密には「社内で使う管理用の標準液」という位置づけです。ただ、土壌の肥料判断では±0.2程度の精度があれば足りるので、この目的には十分だと考えました。

2台とも、この機器には調整する機能がありません。そのため「校正前と校正後を比べる」ことはできず、「どれだけずれているか」を記録する形で進めました。

📝 やり方

  1. 精製水250mLに、標準液の粉末を1袋ずつ溶かす(3種類を別々のビーカーに)
  2. 液を室温(25℃前後)にそろえる。pH標準液の値は25℃で決められているため
  3. 電極(先端の棒)を液につけ、値が落ち着くまで待ってから読む
  4. 標準液を替えるたびに、電極を精製水ですすぎ、ティッシュで軽く押さえて水気を取る
  5. 4.01 → 6.86 → 9.18の順に、3回ずつ測って平均を出す
  6. 「平均 − 標準値」をずれとして記録する

📊 結果①:1回目の測定

室温24.2℃、標準液の液温24℃で測りました。

標準値デジタル機アナログ機
平均ずれ平均ずれ
4.014.10+0.094.07+0.06
6.866.80−0.066.80−0.06
9.188.97−0.217.70−1.48

酸性〜中性(4.01と6.86)は、2台ともずれが0.1以内。かなり健闘しています。一方、アナログ機は9.18の液で7.5〜7.8しか示さず、アルカリ側では頭打ちになることが分かりました。

📊 結果②:2回目の測定(写真つき)

念のため、標準液を作り直して、もう一度測りました(室温は25℃前後)。写真は、この2回目のものです。左がアナログ機、右がデジタル機です。

pH 4.01

pH4.01標準液の袋と電波時計
4.01の袋と電波時計(室温25.2℃)
pH4.01標準液を測定中のアナログ機とデジタル機(デジタル4.6)
左:アナログ機 右:デジタル機(4.6)

pH 6.86

pH6.86標準液の袋と電波時計
6.86の袋と電波時計(室温25.1℃)
pH6.86標準液を測定中のアナログ機とデジタル機(デジタル7.0)
左:アナログ機 右:デジタル機(7.0)

pH 9.18

pH9.18標準液の袋と電波時計
9.18の袋と電波時計(室温25.4℃)
pH9.18標準液を測定中のアナログ機とデジタル機(デジタル9.2)
左:アナログ機(7台で頭打ち) 右:デジタル機(9.2)
標準値デジタル機アナログ機
読み値ずれ読み値ずれ
4.014.6+0.594.6+0.59
6.867.0+0.146.8−0.06
9.189.2+0.027.3−1.88

2回目は、4.01の液でデジタル機が4.6と、1回目(4.10)より0.5ほど高く出ました。同じ種類の標準液、同じ機器でも、測り直すと0.5近く違うことがあるわけです。アナログ機の9.18は、今回も7台で頭打ちでした。

🔎 分かったこと

  1. 酸性〜中性の傾向は見られる。4〜7では、2台とも標準液の値の近くを示した
  2. ただし、繰り返しの精度は高くない。測り直すと、最大0.5ほどぶれた。表示が0.1刻みなことや、値が落ち着くまでの時間も影響していそう
  3. アルカリ側は、アナログ機は使えない。9.18の液でも針は7台で止まる。「7.5以上」は「7.5以上のどこか」と読む
  4. デジタル機は、アルカリ側でもほぼ正しい値を示した。9.2(9.18に対して+0.02)

そこで、私はこの2台の誤差を「±0.5程度」と見て使うことにしました。0.1単位の細かな差には意味を持たせず、「土が酸性寄りか、中性か」「石灰が要りそうか」を判断する目安として使います。

🌱 畑で測るときの使い方

  • 場所を変えて、何か所も測る。1回の値を信じず、複数の平均を取る
  • デジタル機を主役、アナログ機は確認用。2台の値が大きく違うときは、測り直す
  • pH7を超える値は、アナログ機では判断しない
  • 同じ機器・同じ方法で測り続ける。絶対値より、「去年より下がったか」など変化を見るのに向いている
  • 1〜3か月に1回は、標準液で再チェックして、ずれが変わっていないか確認する

💡 ずれを知っておくと、使い方が変わる

安価な酸度計は、買ったままだと「何となく信じて使う」ことになりがちです。一度でも標準液で確かめておくと、「どの範囲なら信用できて、どこから先は信用できないか」が分かります。これが、校正のいちばんの価値だと感じました。

📅 次回は

次回は、実際に畑の土を測って、土のpHを調べます。土1に対して水2.5の割合で混ぜた上澄みを測る方法で、複数の場所をはかり、肥料や石灰の選び方につなげる予定です。

この記事が、酸度計を使っている方の参考になればうれしいです😊 最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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